自分の私有地である私道で、他の誰かが勝手に駐車していたら嫌ですよね。また勝手な路上駐車をどのように解決していいのかわかりません。今回は私道での駐車トラブルについて紹介していきます。
路上駐車のトラブル
私道での駐車トラブルは案外多いです。私道は私有地だから駐車しても良く、それが当たり前の権利だと思っている人が多くいます。そのおかげで迷惑がかかっている人は、通行の邪魔だと考えますよね。その考えの違いからトラブルが起きていて、当事者の話し合いでは解決せず、裁判になってしまうのです。
しかし、私道を共有している人による権利損害の訴えと、道路交通法での取り締まりは全く別の物なのです。迷惑駐車で損害をうけたと裁判に訴えても、迷惑駐車した人が警察から罰則をうけるわけではないのです。
適応される法律が違う?
私道での駐車トラブルは、その迷惑駐車がどの法律に適応されるか、違う面から検証することが大事です。実例でいうと、道路交通法では違反ではなかったものの、自動車の保管場所の確保等に関する法律では違反で罰則の対象になってしまったというケースもあるのです。
色々な面から見た訴訟の例
〇通行地役権を所有する者が日常的な駐車による通行妨害の禁止を求めた訴訟
通行権を所有している人は道路全体を自由に通行できるため、私道の一部を独占使用している人に対し、通行妨害行為の禁止と道路の目的外に使用する行為の禁止を求めたという訴訟があります。
〇人格権に対する妨害排除請求権の行使としての訴訟
自分が生活をする上で私道を通らなければならない場合、通行の自由を人格権の一つとして考え、人格権に対する妨害排除請求権の行使として駐車禁止を求めたという訴訟があります
〇迷惑防止条例・不法侵入などを根拠にしての訴訟
道路交通法が適応されない場合に迷惑防止条例・不法侵入などを根拠とし、私道に路上駐車する人に対して、迷惑行為の中止を求めるという訴訟があります。
私道と道路交通法ってどんな関係なの?
私道で道路交通法が適応されるのか疑問ですよね。道路交通法第2条(定義)1では一般通行の用に供するその他の場所を道路として認めています。たとえ私道でもこの定義が認められた場合、道路交通法の適応可能な場所なのです。公道の出入りができなくなっている私道(民地内道路)ならば、この定義が該当せず道路交通法が適応されないと解釈することもできます。しかし、別の私道に関して簡単に判断せずに必ず確認するようにしましょう。
個別の私道での取り締まり
個別の私道の判断は簡単ではなく、警察官がその判断を間違うことは許されませんよね。警察官自身、道路交通法が適応されない場所で取り締まりをして、間違って違反者とみなし罰則を与えると大問題になってしまいます。そのため、私道や私有地は慎重さが求められる場所でもあるので、積極的な取り締まりは難しいのです。
道路交通法での駐車違反は?
私道が道路交通法に適応される道路だと認められている場合、
〇道路交通法第9節→駐車及び停車
自動車用の出入り口から3メートル以内の場所
〇第44条→停車及び駐車を禁止する場所
交差点の側端または道路の曲がり角から5メートル以内の場所
〇第45条→駐車を禁止する場所
駐車する場合に幅員3.5メートル以上(道路標識などで距離が定められている場合はその定められた距離)の余地がない場所
この定めにより、このような場所へ駐車すると道路交通法による駐車違反となります。
車庫法による道路の使用の禁止
「自動車の保管場所の確保などに関する法律」では、車庫法が適応される道路について、「車庫法第2条(定義)4…道路法第2条第1項、規定する道路及び一般交通の用に供するその他の場所をいう」と定めています。対象となる私道が「自動車の保管場所の確保などに関する法律」の適応される道路の場合、車庫法第11条である保管場所としての道路の使用の禁止の定めにより、
・道路上の場所を自動車の保管場所としてしようすること
・自動車が道路上の同一の場所に引き続き12時間以上駐車することとなりそうな行為
・自動車が夜間に道路上の同一の場所に引き続き8時間以上駐車することとなるような行為
これらの行為が禁止されます。違反に対し、罰則の対象となります。
まとめ
道路交通法が適応されなくても他の権利を行使し、訴訟を起こすことができるのです。駐車に関するトラブルがある方は是非、参考にしてみてください。