底地・賃借権の付着した土地では…?
中古車を展示する際などの提供されている土地の評価についての決済事例がありました。当該土地を低地として評価するのか、賃借権の付着した土地として評価するのかによって大幅に評価額が異なり、またリスク回避に繋がります。従って裁決を知っているか否かでとても大きなことだと言えます。本件の土地のは、賃貸借契約は、中古車展示等の敷地として賃貸借契約を締結したものであり、借地法の適用はなく借地権の目的となっている賃宅地として評価するものではなく貸し付けられている雑種地として評価すべきとする裁決事例です。裁決の内容として請求人らは、本件土地の中古車展示等の敷地としての賃貸借契約について、貸付けの際に建物の建築を承諾していたこと並びに本件土地上の建物について所有権保存登記がされていることから借地法の適用があり、本件土地は借地権の目的となっている賃宅地として自用地価格から借地権価額を排除して注意すべきと主張します。しかし、本件土地の賃借権の目的である中古車販売業は、事業目的遂行のため多数の自動車を野外に展示して販売する事業であり、賃借地の一部に管理のための事務所及び商談スペースとなる建物の建築を承諾し、実際に建築され登記がされたとしても、建物の所有以外の目的のための賃借地であると認められるから、本件土地に係る賃貸借契約には借地法の適用はなく、借地権の目的となっている賃宅地としての評価することはできず、財産評価基本通達86に定めのある、貸し付けられている雑種地として評価すべきということです。
賃料不払による催告の方法について
賃料不払いによる催告の方法には次のようなものがあります。
まず1つ目として催告は訴訟においても訴訟外でもすることができ、また書面、口頭を問いません。ただ実質的には催告をしたことをきちんと証拠に残すために配達証明付きの内容証明郵便で行うのが妥当です。
2つ目は取引払いの約定のある場合であっても、持参または送金払いを求めた催告は、解除の前提としての催告として有効です。
3つ目は賃借人が現実に提供された資料の受領を拒絶受領停滞の状態にある場合には、特段の事情がない限り、賃借人が借家人賃料の不払いを理由として契約を解除するためには、単に支払いを通告するだけでは足りず、その前提として受領拒絶の態度を改め、以後賃料を提供されれば確実にこれを受領すべき旨を表示するなど、自己の受領停滞を解消させるための措置を講じる必要があります。
これによって催告当事者は賃貸家屋が適法に転貸された場合において、賃借人が借家人(転貸人)の賃料不払いを理由に賃貸借契約を解除するに際し、賃借人に対して催告すれば足り、転借人に対して催告する必要はありません。そして、共同相続人として共有している家屋を賃貸している場合、目的物の用益提供が共同相続人の不可分な債務である以上、これと対価関係にある賃料債権も性質上の不可分債権と解され、したがって1人の賃貸人が全額を請求できるので、共同相続人の1人が単独でした催告も有効です。紛争の最高裁判例があります。
「昭和34年12月、Aさんは期3年、賃料月額1万6千円、賃料は毎月15日に賃貸人方に持参して支払うという約束で、その所有家屋をBさんに賃貸した。昭和37年12月16日、Bさんは賃料を持参したが期間満了による賃貸借の終了に受領を拒絶された。その後昭和38年4月15日、AさんはBさんに対し賃料の支払いを催告したのでAさんがそれに応じて持参したところ、Aさんの母親に拒絶された。昭和41年6月2日Aさんは、未払い賃料の催告及び相当期間内に支払われない場合は解除する旨の意思を表示したが、Bさんは賃料を支払わなかった。」
これに対しての判旨は「建物の賃貸人が現実に提供された賃料の受領を拒絶したときは、特段の事情がない限り、その後において提供される賃料についても、受領拒絶の意思を明確にしたものと解すべきであり、このような賃貸人が賃借人の不払いを理由として契約を解除するためには、単に賃料の支払いを催促するだけでは足りず、その前提として受領拒絶の態度を改め、以後賃料を提供されれば確実にこれを受領すべき旨を表示するなど、自己の受領遅滞を解消させるための措置を講じなければならない。」
※「借地借家紛争解決の手引き」(新日本法規)より一部引用
最後に
中古車展示にも賃料不払いの催告の方法にもよく考えることが多いものだと思います。中古車展示の敷地は雑種地と評価されてしまうことは驚きですね。賃料不払いの件も最初に賃料不払いについてしっかり話し合い、賃貸借契約は賃貸人と賃借人との間の信頼関係に基礎を置く継続的な契約関係であることから賃料不払いの行為は信頼関係を破壊する不信行為となってしまいます。このようなことがないように、気を付けていきましょう。