売却しようとしている土地に、擁壁が含まれているという方も少なくないと思います。
また、購入しようと思っている土地に擁壁が含まれていて不安に思っている方も多いかも知れません。
擁壁の含まれた土地を売買するのであれば、知っておきたいポイントがいくつかあります。ここでは、擁壁つきの土地を売買するのであれば知っておきたい注意点についてご紹介します。
擁壁つきの土地は価格がかなり安くなる可能性がある
擁壁の含まれる土地や住宅は、売却価格がかなり低くなる可能性があることを知っておきましょう。擁壁は、老朽化や劣化などがある場合、多額の費用を支払い建て直さなくてはいけません。その建て直し費用分が、売却価格から大きくマイナスされる可能性があるのです。
建て直しをする必要がある擁壁が土地に含まれている場合に売却価格が安くなってしまう可能性が高くなるわけですが、建て直しが必要な擁壁とはどのようなものでしょうか。
以下に、建て直しが必要になる擁壁の特徴をご紹介します。
現行の法律基準に適していないもの
土地が宅地造成工事規制区域に含まれている場合、擁壁の建設は宅地造成等規制法(1961年制定)に則って行われている必要があります。
1961年以前に建設されている場合、擁壁が現行の宅地造成等規制法の基準に適合しておらず、建て直しをする必要があります。
建築基準法違反
擁壁そのものが違反建築である可能性もあります。建築基準法などに違反している場合も、法に則った建て直しが必要になります。
老朽化している
基準を満たし、法に則って作られている擁壁であったとしても、時間が経てばどうしても老朽化します。老朽化したものは安全性におけるリスクが高まりますので、建て直しをしなければなりません。
建て直しについては、売却するときにだけ注意しなければいけないものではありません。
購入する場合であっても、上記の特徴を持った擁壁が土地に含まれていれば多額の費用を支払ったうえで建て直しをしなければならなくなります。
価格が安いからと言ってすぐに飛びつかず、擁壁がどのような状態かしっかりチェックするようにしましょう。
擁壁も瑕疵担保責任の対象になる可能性がある
住宅などを売却する場合、売り主は住宅の状態について、瑕疵担保責任を負わなくてはいけません。
瑕疵担保責任とは、欠陥があることを知らずに住宅を売却してしまった際、売り主がその責任を負うことをいいます。
個人間で売買する場合は、瑕疵担保責任が問われる期間が3ヶ月間に設定されますが、仮に売り主が住宅に欠陥があることを知った上でそれを隠して売却していた場合は、瑕疵担保責任に期間は設けられません。
隠れた欠陥が見つかった場合に問われる瑕疵担保責任ですが、擁壁についても適用されます。
売却した擁壁に欠陥が見つかった場合、その建て直しに関する費用を請求されることがありますので、擁壁のある不動産を売却する際は、事前に擁壁の状態をしっかり確認するようにしておいてください。
反対に、購入した不動産に含まれていた擁壁に欠陥が見つかった場合は、売り主に対して瑕疵担保責任を負って貰いましょう。
擁壁のチェック方法
購入する場合も、売却する場合も、売買の前後にしっかりと擁壁の状態をチェックしておく必要があります。
チェック方法は自分で行うものと、不動産業者など専門家にチェックを依頼する方法の2種類です。
自分でチェックする場合は、国土交通省が発表している「我が家の擁壁チェックシート」というマニュアルを利用しましょう。
チェックシートには、以下のような項目があります。
- ・たわみや歪みの有無たわみや歪みの有無
- ・割れている部分や壊れたりしている部分の有無
- ・亀裂、ひび割れ、目地の欠落の有無
- ・水抜き穴の直径が7センチメートル以上あるか
- ・水抜き穴の配置箇所の間隔が1.7メートル以内になっているか
- ・擁壁の上段や下段の排水用U字溝の沈下やズレ、つまりなどの有無
- ・現行の法定基準に不適格なタイプ(亀の甲型、大谷石)ではないか
- ・鉄筋が使われていないコンクリートの擁壁ではないか
- ・2段積みの擁壁になっていないか
- ・擁壁の高さが2メートル超になっていないか
これらの項目をチェックし、総評点を算出し、安全性を3段階で評価します。
この方法で一応擁壁のチェックはできますが、素人が行うと、どうしても見落としをしてしまうものです。
後々のトラブルを避けるためにも不動産業者に依頼して、専門家によるチェックしてもらうことをおすすめします。
その際はより正確な判断をするためにも、複数の業者にチェックを依頼するようしましょう。
擁壁が含まれる不動産を売却する場合は、売りに出す前にチェックして然るべき対応をし、また購入する場合はできるだけ早めに擁壁の状態をチェックして瑕疵担保責任を売り主に負って貰うようにしましょう。