農地を売るにはどうすればいい?
近年、農家を営む方々の高齢化が問題視されています。
農業を継続しようにも後継者が不足し、管理されず荒れ果てた農地が増えているのが現状です。
農地を売りに出したいと考える方も多いですが、農地は普通の土地のように簡単に売却することができません。
農地を売るには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
そこで今回は、農地が売れにくい理由や、農地を売るために知っておきたいポイントなどをご紹介します。
農地が売却しにくい理由
農地は土地としての扱われ方が特殊です。
というのも、「農地法という法律によって利用用途を農業に限定された土地」であるからです。
つまり農地は持ち主の勝手で別の用途で使うことができないということ。
食料自給率が低い日本にとって、農作物を育てる農地というのは、法律で守らなくてはならないくらい特別な存在であるということです。
利用用途が限定されていれば、当然それだけ需要も小さくなります。
農業に興味を持つ若者が多くなっていると取りざたされることが増えているものの、まだまだ農業の後継者不足は深刻で、農地を新しく買おうと考える人は少ないのが現状なのです。
敷地を広げたいと考えている近所の農家さんがいるのであれば、その人に購入してもらうことができるかもしれません。
しかしそのようなケースはまれであり、実際問題、現代の日本には売るに売れず放ったらかしになっている耕作放棄地が農地全体の1割を占めています。
それだけ、農地を売却することは難しいということです。
農地を売るには「転用」を検討したほうがいい
農地転用とは、その名のとおり「農地を農地以外の土地に転用すること」を意味します。要は農地を普通の土地に変更するということです。農地転用することで土地の利用用途の幅を広げることができ、より売却がしやすくなります。
しかし、農地は農地法で保護されているものです。どのような農地であっても簡単に農地転用ができるわけでありません。
まずは農業委員会や都道府県知事に転用の申請を出し、許可を得る必要があります。
申請の際には転用後の土地をどのような目的で使うのかはっきりさせ、またそのための資金が充分にあるというのを証明しなければなりません。
しかし申請すればどのような農地でも転用の対象になるわけではなく、農地の区分によってはそもそも転用できないということがあります。
まずは市役所などの農政課などへ問い合わせ、農地がどの区分に該当するのか調べるところから始めましょう。
以下に農地の区分について簡単に紹介しておきますので、参考にしてください。
- ・農用地区域内農地
「青地」と呼ばれる、農用地区域(農業振興地域整備計画によって定められた区域)内にある農地です。最も制限が厳しいとされ、農地転用はほぼ無理と言われています。 - ・甲種農地
市街化調整区域内にある農地の中で、優れた営農条件を備えている農地のことを指します。この場合も、原則的に転用は許可されないことになっています。 - ・第1種農地
生産性が高い約10ヘクタール以上の規模の農地で、土地改良事業などの対象になっている土地です。原則転用の許可はされにくいですが、公共性が高い事業のために転用するなどであれば許可が下りる可能性があります。 - ・第2種農地
鉄道の駅が500メートル以内にあるなど、市街地化される区域にあって生産性が低い農地です。周辺の農地が代用できないは、転用が許可されることが多いです。 - ・第3種農地
鉄道の駅が300メートル以内にあり、既に都市化が進んでいる市街地区内にある農地を指します。この区分の場合は基本的に転用が許可されやすいです。
これらの区分を見てもらうとわかるように、生産性が低いほうが転用の許可は下りやすくなっています。周辺が既に都市化しているなどの場合は、積極的に農地転用を検討してみるといいでしょう。
農地売却に強い不動産業社と契約しよう
農地を売るには、まずは農地転用をする必要があります。
転用した土地は基本的に不動産業者を介して売却することになることが多いと思いますが、その際は農地売却に強い業者を選ぶようにしましょう。
農地を宅地にする場合は土壌改良などをする必要があり、農地売却に強い不動産業者であれば、そのようなことに関するノウハウが豊富です。
また、これから転用申請をする段階であれば、農地売却に強い不動産業者に協力を仰ぐことで、転用の許可が下りにくいとされている区分に属する農地であっても、許可が下りる可能性を高くすることができるかもしれません。
農地を売却しようと検討中の方は、ぜひ当社にご相談ください。