相当地代について

相当地代というのは普段なかなか聞きなれない言葉かと思いますが、相当地代をめぐって過去に裁判になった例があります。

この相当地代について、今回は解説をしていきます。

 

相当地代とは

法人が借地権の設定により他人に土地を使用させる場合、通常、権利金を収受する慣例があるにもかかわらず権利金を収受しないときには、原則として、権利金の認定課税が行われます。

この場合の相当地代の額は、原則として、その土地の時価のおおむね年6%程度の金額です。

 

 

相当地代に該当するか否かの判断について裁決事例が平成14年8月6日大阪決裁支部でので出された事例がありますのでご紹介いたします。

 

審判所の判断

請求人らは、本件賃貸借契約書に、「権利金の支払に代えて相当の地代を支払う」との記載がないことから、両者にとっては、通常の地代を支払うことによって自然発生的に借地権が生じることの認識があった旨主張する。

しかしながら、当時の地代が法人税基本通達13-1-2《使用の対価としての相当の地代》に定める相当地代の額にほぼ一致していること及び本件賃貸借契約書第6条において賃料を3年経過ごとに改定するとしているのは、法人税基本通達13-1-8《相当の地代の改定》の「土地の価額の上昇に応じて地代の改定をする場合、毎年行う必要はなく、おおむね3年以下の期間ごとに改定を行なえば足りる。」との取り扱いを考慮して、地代の額を相当の地代に合わせたものと推認されることから、請求人らの主張は採用できない。

(平成14年8月6日裁決・大阪)
法人税基本通達13-1-2

法人が借地権の設定等(借地権又は地役権の設定により土地を使用させ、又は借地権の転貸その他他人に借地権に係る土地を使用させる行為をいう。以下この章において同じ。)により他人に土地を使用させた場合において、これにより収受する地代の額が当該土地の更地価額(権利金を収受しているとき又は特別の経済的な利益の額があるときは、これらの金額を控除した金額)に対しておおむね年8%程度のものであるときは、その地代は令第137条《土地の使用に伴う対価についての所得の計算》に規定する相当の地代に該当するものとする。

法人税基本通達13-1-8

法人が、借地権の設定等により他人に土地を使用させた場合(13-1-5又は13-1-7の取扱いの適用がある場合を除く。)において、これにより13-1-2に定める相当の地代を収受することとしたときは、その借地権の設定等に係る契約書においてその後当該土地を使用させている期間内に収受する地代の額の改訂方法につき次の(1)又は(2)のいずれかによることを定めるとともに、その旨を借地人等との連名の書面により遅滞なく当該法人の納税地の所轄税務署長に届け出るものとする。この場合において、その届出がないときは、(2)の方法を選択したものとする。

(1) その借地権の設定等に係る土地の価額の上昇に応じて順次その収受する地代の額を相当の地代の額(上昇した後の当該土地の価額を基礎として13-1-2に定めるところに準じて計算した金額をいう。)に改訂する方法

(2) (1)以外の方法

 

○相当地代・借地権の価額

 

借地権の相続税の評価額は、相当の地代を支払っていたとして、零円とすべきか否かが争いとなった裁決事例を紹介します。

 

事例の概要

 

請求人らは、被相続人は同人が代表者であった有限会社から建物の所有を目的として賃貸する一方、同社に対して倉庫を貸借していたことから、被相続人が受け取っている家賃の額と適正な家賃の額との差額を被相続人が支払っていた地大学に加算して相当の地代かどうかを判断するべきと主張するが、審判所は現実に授受されるべき金員の額で相当の地代か否かを判断すべきとした事例です。

 

決裁要旨

 

請求人らは、被相続人は同人が代表者であった有限会社から建物の所有を目的として賃借する一方、同社に対して倉庫を賃貸していたことから、被相続人が受け取っていた家賃の額と適正な家賃の額との差額を被相続人が支払っていた地代の額に加算して相当の地代かどうかを判断すべきである旨主張する。

しかしながら、相互に資産の貸付が行われている場合であっても、借地権の評価における相当の地代の額を計算する際の実際支払地代は、各賃貸借契約が相互に関連があって一体不可分のものであり、被相続人と有限会社の間における土地の賃貸借と建物の賃貸借の契約には、各賃料の額の一定額が相殺関係にあるとは認められないから、請求人らの主張を採用することはできず、現実に授受されるべき金員の額で相当の地代か否かを判定すべきである。(平11.6.28名裁(諸)平10-102)裁決事例集 No.57・443ページ)

 

○相当地代

 

相当の地代に満たない地代を収受している場合の貸宅地としての評価

(平成14年8月6日裁決・大阪)

 

裁決要旨

 

請求人らは、「相当地代通達」は特殊関係者間の賃貸借のみの取扱いを定めたものであり、本件のような特殊関係にない第三者間の賃貸借に係る本件土地の評価については、相続税評価基本通達に定める借地権割合を控除すべきである旨主張する。しかしながら、相当地代通達は建物の所有を目的とする借地権の設定に際して、その設定の対価として通常授受される権利金に代えて、相当の地代が授受されている場合等における土地の評価について、全般的な取扱いを定めたものであり、必ずしも特殊関係者間の賃貸借のみに限られた取扱いではないことから、この点に関する請求人らの主張は採用できず、相当地代通達に従い、この土地は自用地価額の80パーセントをもって評価すべきである。

(平14.08.06.大裁(諸)平14-12)

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