さて、前篇では相続が発生してから不動産の登記変更と手続きについてご紹介してきましたが、後編では相続登記をしないとどのようなリスクがあるのかをご紹介していきたいと思います。
単刀直入に述べますと、相続登記を行わないでいるとデメリットとリスクがあります。
面倒になる前にご自宅や保有不動産の出口戦略をしっかり考える事が大切です。ゆえに、相続登記は必ず行うことをお勧めします。
・不動産を売却したり、担保にした借入(資金調達)が困難になる
所有者が亡くなった人名義のままの状態では、その不動産を売却することは極めて困難です。また、その不動産を担保にして借入をする事もできません。すなわち、相続登記をしなければ、第三者に対して、その不動産が「自分のものである」と主張することができないので、当然の結果といえます。
・他の相続人に勝手に不動産を売却される恐れがある
不動産の所有者が他界した場合、遺産分割協議がまとまるまでは、その不動産は一時的に相続人全員の共有状態となります。この共有状態でも、一人の相続人が持っている持ち分部分を第三者に売却する事ができます。
通常であれば、共有状態の不動産を購入するということは購入者側の立場にたつと考えにくいですが、例えば他の相続人に嫌がらせをしてやろうといった気持ちで勝手に売却をしないとも限りません。
もしもそうなってしまっても、本来の所有者の所有権がなくなるというわけではありませんが、本来の所有者に名義を戻す手続きはかなり面倒な手続きをすることになります。
・後から相続登記をする事が困難になる事がある
相続人の間で話がまとまっていて、後は相続登記をするだけの状態になっていたとしても、相続登記をしない間にその相続人のうちの一人が亡くなってしまった場合には、その亡くなった相続人のさらにその相続人の協議が必要になります。
相続登記をせずに放置をしていると、当初予定していた相続内容に沿わない事態に陥る危険性があります。そもそも、口約束で協議が整っていた場合、相続をうける方は、知りえない内容になることが懸念されます。
結果、相続予備軍がどんどん増えていけば、多くの方の意向や環境によって、相続登記をすること自体が、不可能になってしまう事態となります。
以上のように、相続登記をしないことによるデメリットは大きいため、特段の事情がない限りは、相続が発生したら、不動産の相続登記は遺産分割協議を済ませたうえで、手続きすることをお勧めします。