【実録】相続トラブルの対処方法①

~どうして3人の兄弟は、いがみ合うことになったのか~

 高齢化社会と言われるこんにちですが、遺産相続をめぐるトラブルは増加傾向にあります。故人もやるせない想いでしょうし、遺族も然り。では、どうして?トラブルはおきるのでしょうか。このコラムを通じて、何に注意しなければいけないのか、参考になれば幸いです。

 

 さて、今回ご紹介する相続トラブルは、故人である両親が住まわれていた不動産をめぐる紛争になります。弊社が取り扱わせていただいた案件のなかでも、もっとも記憶に残る案件のひとつです。

 

 

 遺族の3人兄弟による骨肉の争いに発展した理由は何だったのでしょう。

 

 

 もともと遺族の父は、10年前に他界しており、母と長男が2人で住んでいました。母が他界したことで、遺産分割の協議がはじまりましたが、意見が分かれて紛争に発展していきます。それぞれの意見はこうです。

 

●長男の意見

・自分は、これまで両親と同居し、母の介護にも精力的に取り組んできた。協力もしなかった弟達が故人の遺産をもらおうというのは、虫が良すぎる。

・そもそも一番近くで両親に寄り添っていたのは自分であり、家督は長男が継ぐもの。

・兄弟とはいえ、どうこう言われる筋合いはないし、現に自分自身が住んでいるのだから、私の家だ。

・弟達はそれぞれにマンションを購入しているのだから、住む処にも困らないはずだ。弟達は自分から家を奪うつもりだ。

 

●次男と三男の意見

・家を売却することで、現金を兄弟で分けたい。自分達の相続分を主張するのは、当然の権利である。

・兄による介護は、大変感謝しているが、家賃も払わず、居候のような状態なのだから、親の面倒をみるのは当然だ。

・単身者の兄が、あんなに広い一軒家にこれから住む事も不満だ。

 

 

 結局、双方の意見は平行線をたどり、裁判に発展します。舞台がかわったところで、和解の糸口も見付からずに判決を迎えることになります。次男と三男の遺留分が認められ、法定相続の手続きがとられることになりました。

 

 

 この結果をうけ、これまで以上に長男は依怙地となったことは想像に易く「共有不動産とはいえ、売却しなければいけない理由はない!」と、あくまで売却処分には反対姿勢をとります。一方、次男と三男は、売却後の分配を知るためにも不動産屋に査定依頼をかけることにしました。

 

 

 ところが!!

 次男と三男にとって、受け入れ難い結果を目の当たりにすることになりました。

 

 まさか、故人の不動産が再建築不可だったとは・・・。次男と三男の計画は、暗礁にのりあげることになります。

※別コラム【再建築不可物件を保有するリスク】参照

(※本件の弊社対応については、別コラムにて)

 

 

それでは、どうすれば、トラブルを回避できたのでしょうか?

 

 

 ズバリ!対象となる不動産の相続について、両親の健在なうちに話し合っておくことです。予め、主張や意見を共有することで糸口は必ず見つかったはずです。

 

 意見に併せた解決方法を模索することで、手段やその担保する手段を考えることができます。たとえば、遺言は昔から存在する極めて有効な手段といえます。一方で、生前に売却することになれば、贈与の分配方法を決めなければならないことから、必然的に取決めを残すことになります。

 

 今回の事例からわかるように、遺族は生前に相続財産の把握に努めることが大切です。タイミングによっては、とてもデリケートな問題ですから、敬遠しがちとなることが想像できます。「うちは大丈夫だから」と、思えるような準備が重要です。

 

 あすか地所では、弁護士・司法書士・税理士と、それぞれ専属顧問体制を敷き、不動産売買以外の視点からもあなたのサポートをさせていただきます。ご不安に思うところがあれば、まずはお気軽にご相談ください。

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