再建築不可物件には、保有するリスクが多数あることを念頭に置いておかなければなりません。
【車両の進入(通行)】
「周囲が家に囲まれており、幅2メートル以上の道路に隣接していない(別項、「囲繞地」「袋地」参照)」ので、車の侵入ができないことが多くあります。駐車スペースを持てないだけではなく、リフォームをしたくても工務店や業者の車両が侵入できずに施工を断られる可能性があります。また、家々に囲まれた立地であることが多いため日当たりもよくありません。最も注意すべきは、火災などが起きた場合、緊急車両が通行しにくいなどのリスクがあります。
【自然災害】
建築物がなくなるような災害(地震・火災など)が生じた時は深刻な事態といえます。長年にわたり住居として使用できていたら、まだ良いのですが、取得して間もなくに建築物を失ったら大損です。
建て替えができない(別項、「建築基準法」参照)ため、所有者の目的に沿わない不毛の土地として負の資産となる恐れがあります。もしも、金融機関を利用して購入していた場合、破産する可能性も起こりえます。
近年、日本は地震活発期に入ってきていると言われています。「東京をはじめとした関東圏においては、いつ大地震に襲われるか分からない」という専門家もいるようですが、もしも、再建築不可物件の所有者が、そのような震災に見舞われてしまった場合、建て替えもできず、保険で対応もできないという事態は、極めて深刻な問題といえます。
【税金】
不動産を所有していると税金が支払わなければいけません。いくら使っていない(住んでない)といっても毎年固定資産税と都市計画税を納めなければなりません。もしも、所有する再建築不可物件の購入希望者が見つからなくても、所有しているという状況から、確実に税金はかかります。
【メンテナンス】
再建築不可物件は一旦、建築物を取り壊すと再び建て替えることはできないので、建築物の経年劣化について神経をつかい、維持していくことが重要です。そんため新しい建築物と比べて、当然メンテナンスの費用がかかることを想定する必要があります。
また、修繕やリフォームを検討する際には、建築基準法に違反しないように注意する必要があります。(別項、「建築基準法」参照)
【購入】
購入希望者は、金融機関による再建築不可物件がどのように評価されているか理解することが重要です。税制面において、再建築不可物件は、様々な制約を負うことから一般的な不動産と比べて、資産価値(評価額)は低く評価されます。したがって、固定資産税や都市計画税の税額も安価となります。
一方で、資産価値が低く評価されていることから、金融機関による資産評価(担保力)も当然、低く資産評価されます。金融機関によっては、再建築不可物件の制約と性質から資産として認めてもらえないことが多いようです。以上のことから、住宅ローンやアパートローンの融資が下りる可能性は極めて低くなります。
★購入希望者は、現金一括で購入することが一般的です。再建築不可物件は、融資が下りにくい(融資利用が困難)ことから、低価格で取引される側面があります。
【売却】
一般的な不動産の場合、土地を更地にして売り出せば、不動産を探している購入希望者の目的や時間軸のニーズに合致する可能性が高いことから、買主を見つけることはさほど難しくはありません。
再建築不可物件は、建築物を建て替えられないことをはじめとした制約や性質に加えて、前述【購入】のとおり、購入希望者が金融機関の利用を計画した際に大きな障害となります。そのため、購入者を見つけられる可能性は著しく低下し、売却を希望する計画が難航することが予想されます。
★再建築不可物件を売却する際は、手離れがよくないことを認識しておかなければなりません。