民間や民間企業の所有する道路である「私道」ですが、「私道」を自治体に寄附することによって「公道」となるケースがまれにあります。寄附されて「公道」となった私道は、管理者が自治体に移管されることになるので、舗装や側溝の整備、修繕などを行うことになります。
私道を公道に移管するための必要条件
いくら私道を寄附してほしいと申請しても、必ず受け取ってもらえるというわけではありません。寄附を受け取るということは様々なデメリットも生じます。例えば、移管後の維持管理や管理責任などです。そのため、問題のある私道は受け取らないというケースもあります。
市区町村の自治体ごとに「私道寄附要網(私道寄附受理基準)」が定められていますので、自治体によってその条件は異なります。所有している私道が寄附可能かどうかの詳細については、管轄である各自治体にお問い合せください。
〈一般的に私道寄附が可能な条件の例〉
〇道路形状
・寄附地が行き止まりであれば、基準に合う自動車の転回広場があること。
・寄附地に接する土地は、原則として建築物が建設されていること。
・寄附地の道路が一般の人や車の通行が可能であること。
・寄附地の道路幅員が4m以上であること。
・寄附地の起点及び終点が、国道、県道、市道等の公道いずれかに接続すること。
・寄附地の既存の公道と接する部分に隅切りを設けること。
・寄附地に道路面排水のための側溝が整備されていること。
〇登記関係
・寄附地と敷地(宅地)部分とが分筆されていること。
・当寄附地の所有権を移転できること。
・寄附対象地の地積測量図が法務局に存在すること。
・寄附地に対し所有権以外の権利(抵当権・他)が設定されていないこと。
・寄附地と敷地(宅地)部分の境界が確定できること。
〇同意・協力
・寄附地に関して特別な利害関係を有する人がいないこと。
・寄附地の所有者全員の同意・協力が得られること。
〇予算
・寄附地を受け取る側の自治体に公道管理の予算があること。
※寄附地=寄附予定の私道部分
私道を公道に移管する難易度とは
では、上記の条件をクリアしていたとしてもすぐに私道だった道路を公道に移管できるかというのも気になってきますよね。いわゆる開発道路のように、市区町村の指導を受けながら築造した道路の場合は比較的スムーズに移管することができます。
しかし、元々既存していた古い私道の場合は、難易度は高いといえます。約50世帯が私道を寄附しようと話し合って、一つ一つの条件をクリアしていって移管したというケースもありますが、それでも10年の歳月を要したというデータが残っています。そのため、反対者の説得や抵当権を外す交渉など、時間のかかる難題が数多く発生してしまうのです。